CUDO賛助会員の集い(2017年秋)において、カラーユニバーサルデザイン推進ネットワーク*事務局 関根ジローさん(松戸市会議員)が、松戸市では松戸市立小中学校において全国初または極めて先進的な色覚チョークの全面導入をすることを報告しました。
*カラーユニバーサルデザイン推進ネットワーク:超党派地方議員、NPO法人カラーユニバーサルデザイン機構、学生で構成される民間団体。

写真左:色覚に配慮されているチョーク

■色覚チョークの導入メリット
文部科学省は、同省が策定する「色覚に関する指導の資料」のなかで、「黒板上に赤・緑・青・茶色などの暗い色のチョークを使用することを避けるようにする」と記載されており、「白と黄色のチョーク」を使用することを推奨しております。一方で、色覚チョーク*を導入・使用することで、色弱(眼科学会では色覚異常)の生徒たちに見やすい板書になることに留まらず、先生方が白と黄色以外のチョーク以外の色も気にせず使用することが可能となり、学習環境の向上が図れることになります。
*「色覚チョーク」:色弱者にとっても色の識別がしやすくなったチョークのことを指し示す。現在、日本国内では2社が製造。

■以下は、「松戸市議会12月議会における関根ジロー市議の質問(2017年12月7日)」より抜粋。

(質問)
市立小中高校への色覚チョークの導入について

「文部科学省は、教職むけに、色覚に配慮した指導のあり方を示す「色覚に関する指導の資料」を作成配布しております。この資料を読んでみますと、実にきめ細やかな色覚への配慮が示されております。例えば、板書について、「黒板上に赤、緑、青、茶色などの暗い色のチョークを使用すると見えにくいため、避けるようにする」と書かれていたり、「あえて、白と黄色以外の色チョークを使用する場合にはアンダーラインや囲みをつけるなどの色以外の情報を加える」と書かれております。松戸市の教職員もこの資料を活用し、より適切な色覚に配慮した学習指導を行っていることと思います。

さらなる色覚に配慮することを目的として、色覚チョークを導入することができないものか質問します。色覚チョークは色弱者にとっても色の識別がしやすくなったチョークのことを指します。平成29年度予算員会で要望させて頂きましたが、色覚チョークの導入がされたのか、導入された場合にはその実績がどうだったかをお答えください。

(答弁)
学校においては、教職員が学習指導、生徒指導、進路指導等において、色覚に対する正しい知識を持ち、黒板や掲示物等を見る際に、何らかの困難を抱えている児童生徒に配慮し、適切に指導することは大変重要であります。

当然、授業で使用するチョークにつきましては、色覚に困難を抱えている子どもたちだけではなく、すべての子どもにとって見やすいものを使うことが大切であります。

この考え方に基づき、小中学校が使う消耗品を教育委員会でとりまとめて購入する「共同購入」のリストのなかに、今年度「色覚をサポートし、すべての人にとって判断しやすいチョーク(色覚チョーク)」を追加し、また、共同購入以外の学校予算のなかでもこのチョークを購入している学校を含め、今年度は複数校で取り入れております。

実際に使っている学校からは、「赤い文字がはっきり見えるようになった」「以前より文字が明るくなり、線の輪郭がはっきりするようになった」等の声が届いております。

さらに来年度の「共同購入」には、「色覚をサポートし、すべての人にとって判断しやすいチョーク(色覚チョーク)」のみをリストアップする予定でございます。これにより、多くの学校がこのチョークを使用することとなります。

教育委員会としましては、すべての子どもが安心して学べる素地として、色覚への配慮を含めユニバーサルデザインに則した教育がおこなわれるよう、各学校への周知に努め、すべての子どもの学力向上を目指してまいります。

(要望)
今年度から、小中学校の「共同購入」のリストのなかに色覚チョーク導入して頂き、実際に色覚チョークを使用してみて、学校から「見やすくなった」という好意的な意見が挙がっていることをご紹介いただきました。

そして、そういった学校現場の声もあり、来年度の共同購入には「色覚チョーク」のみをリストアップすること、逆に言えば色覚に配慮していないチョークを共同購入のリストアップから外して頂けるとの答弁を頂きました。色覚チョークのみを本格導入する自治体は、ひょっとしたら全国で松戸市が初めてではないかと思いますが、とても画期的なことであり、大変に評価します。

質問のなかで触れましたが、文部科学省が作成配布している「色覚に関する指導の資料」には、「黒板上に赤、緑、青、茶色などの暗い色のチョークを使用すると見えにくいため、避けるようにする」「白と黄色以外はなるべく使わないようにする」と書かれていますが、学校現場では少なくとも赤はかなり使っているということがわかっていて、その他のチョークも割合は少ないのですが、算数などで複雑なものを判別させるために使用されていることがわかっています。こういった学校現場の実態のなかで、色覚に配慮されたチョークを導入することは、色弱の生徒たちに見やすい板書になることに留まらず、先生方が白と黄色以外のチョークも気にせず使えることになり学習環境の向上が図れます。

このように生徒にも先生にもメリットがある色覚チョークの全面導入が全国に先駆けて松戸市で来年度からスタートすることになりますが、この動きが全国に拡がってほしいと心から期待します。

なお、1割くらいと聞き及んでおりますが、共同購入以外ではなく学校予算でチョークを購入している学校に対しても引き続き色覚チョークを推奨して頂きますようお願いします。

◇「消防士の採用と色覚調査」の結果についても報告しました。詳しくはこちらをご覧ください。→https://cudo.jp/?p=3440