色覚の呼称

色覚タイプを表す用語は、時代と共に変化してきました。その用語から受けとるイメージは、人によって異なり差別を感じる人も少なくありません。CUDOでは、最先端のゲノム生物学の研究成果と色弱の人を対象に呼称に関するヒアリングを行った結果などを踏まえ、価値基準を感じない次の呼称を提唱しています。

 CUDOが提唱する色覚の呼称

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「人間がもつ約3万個の遺伝子はどれも非常に多様なタイプがあり、そのうちのいずれか1つを”正常”や”異常”と呼ぶことはできない。」

ゲノム生物学の研究成果の考え方は定説になりつつあります。色覚を「正常」と「異常」に線引きして分けるのではなく、色覚型の5種類(C型・P型・D型・A型・T型)を対等に扱うことをCUDOは提唱しています。また、割合が最も多いC型を「一般色覚者」と呼び、C型色覚以外を色の対応の不十分な社会における弱者として「色・弱者(しきじゃくしゃ)」と呼んでいます。
*P型とD型は、さらに錐体細胞の状態の違いによって強度と弱度に分かれます。

C型 Cypher-type (0型)/一般的なタイプ=common-type
P型 Protanope-type (1型)
D型 Deuteranope-type(2型)
T型 Tritanope-type (3型)
A型 Acromatic-type

日本遺伝学会も同様の考えに基づき、Color Blindness が色覚異常であったものを、日本語訳を廃止し、人の色覚は多様性のひとつであるという概念を進める。ということになりました。

 

色覚の呼称に関するアンケート結果

P型やD型色覚の人に限らずC型色覚の人など、できるだけ多くの人に「色覚の呼称」に関するアンケートを行いました。差別を感じる呼称として多かったのは「色覚異常」「色盲」「色覚障碍者」の順であり、少なかったのは「色弱」「色弱者」という結果になりました。「P型色覚・D型色覚」という呼び方については差別的な感覚を持つ人はほとんどいませんでした。CUDOが提唱する呼称は、CUDの普及と共に、現在では広く使われるようになりました。

従来の呼称

色覚を表す呼称には「色覚正常」「色覚異常」「色盲(しきもう)」「色弱(しきじゃく)」「辨色不全」「色神」「色覚特性」「色覚障害」などがあります。過去には差別的な使われ方をしたこともあり、差別感の少ない呼称が求められてきました。現在は、行政など一部では「色覚障害者」と表現されていますが、障害者基本法や工業規格などでCUDO提唱の呼称を使う人は増えています。

*色覚は遺伝であることが分かってからも本当の原因は分からず、色覚の発達が遅れているのが原因とされていた時代が長くあり、治療方法が模索されました。現在はこのような考え方は否定されています。

 

【眼科用語の変遷】

現行眼科用語 2004年以前の眼科用語
1色覚 全色盲
2色覚 2色型色覚
3色覚・正常色覚 正常3色型色覚・正常色覚
異常3色覚 異常3色型色覚・色弱
1型色覚 第1色覚異常
2型色覚 第2色覚異常
3型色覚 第3色覚異常
1型2色覚 第1色盲・赤色盲
2型2色覚 第2色盲・緑色盲
3型2色覚 第3色盲・青色盲
1型3色覚 第1色弱・赤色弱
2型3色覚 第2色弱・緑色弱
3型3色覚 第3色弱・青色弱

文科省 学校保険医会 平成19年度色覚バリアフリー推進委員会
「色覚異常」は学術用語であって差別感を感じる人が多く「障害」にはハンディキャップの意味合いを強く感じる人が多い。日本眼科医学会では検討をしているがまだ生み出せていない(抄)としています。

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